OWS事務局ブログ

2008年12月05日

第5回OWS海のセミナー終了

 
海のセミナー2005「海のセミナー」の基本的な目的は、
「科学的な視点をもって自然を学ぶ」機会を提供することにあります。

これまで、海の自然環境やそこに棲む生きものを対象とした、さまざまな分野の専門家を講演者としてお迎えし、それぞれの研究、保護活動や撮影などの取り組みや活動をご紹介いただきました。海のセミナーは、2002年に始まり、今回をもって第5回を数えます。
参加者にとって、普段知ることができない専門的な内容を知るとともに、各講演者の熱い想いやメッセージも直接聞くことができる貴重な「学びの場」となっています。



2008年11月29日(土) 第5回 OWS海のセミナー
サンゴ礁保全と海洋保護区〜 生物多様性保全を考える 〜


私たちの暮らしは、さまざまな自然の恵みにささえられています。その自然を守り、未来に繋いでいくには、生命の多様さとそれらをささえる環境の多様さを学び、その価値を知ることから始まります。今回の海のセミナーでは、国際サンゴ礁年を締めくくり、来るべき2010年の国際生物多様性年に向け、サンゴ礁の多様な自然とその大切さを学び、そうした環境を育む海洋保護区の実現に向けたアプローチを3名の講演者に解説していただきました。

講演 1
  14:10〜15:10
 
西平 守孝 
名桜大学特任教授
講演テーマ:「サンゴ礁の自然をみつめて」

サンゴは、サンゴ礁の基礎を作り、多様な生物のすみかとなり、美しい景観を作っています。
多くの生物が共存しているからくりの謎解きが面白くて,サンゴ礁での観察を続けてきました。
ある生物がいることにより、他の生物もそこにすむことができるという「棲み込み連鎖」を通して見えてくる、サンゴ礁生物群集の成り立ちや、保全への取り組みについて、考えてみたいと思います。

西平守孝(にしひら もりたか)プロフィール
沖縄県石垣島出身。東北大学大学院理学研究科博士課程修了(理博)。サンゴ礁、海草藻場、マングローブ湿地などをフィールドに、生物や生物群集を観察。著書に、「サンゴ礁の渚を遊ぶ」、「日本の造礁サンゴ類」、「足場の生態学」など。東北大学を退官後、現職。東北大学名誉教授。

 

講演 2
  15:20〜16:20

(c)Aya Higa
キャサリン・ミュジック (日本名:水木桂子)
日本水中映像株式会社学術コンサルタント
講演テーマ:「山と海は恋人」
 
サンゴは絶滅の危機に瀕しています。熱帯から極地まで、世界中の海は全て危機的な状況にあります。
陸上と海での人間の活動は、海の環境を徹底的に変えてしまいました。私たちの貴重な海洋環境に対する獰猛な変化のスピードを落とし、くい止め、そして元に戻すために、私たちは何ができるのでしょう。

挑戦し、良い未来を願いましょう!しかし、変化を願う以上に、変えなければならないのです

キャサリン ミュジック プロフィール 
(日本名:みずきけいこ)
アメリカ合衆国ミシガン州出身。マイアミ大学にて八放サンゴを研究し、理学博士号取得。1981年からサントリー生物有機科学研究所の研究員として沖縄のサンゴの研究を始め、2007年には沖縄県本部町に移住し、子どもたちのための環境教育施設「おたまじゃくし城」をつくるなど、環境教育に力を入れている。著書に、サンゴの絵本「エリセラさんご」など多数。


講演 3
  16:30〜17:30
向井 宏
海の生き物を守る会代表
京都大学フィールド科学教育研究センター特任教授

講演テーマ:
「海洋保護区をつくろう〜海の生物多様性保全に向けて〜 」
昔、魚は無尽蔵でした。
それが今では、鯨、マグロはもとより、大衆魚でさえも危うくなり、魚だけでなく多くの海の生き物が人知れず地域的、全国的にいなくなってきています。

その原因は、人間のなせる業であることが多いのです。
そこで、海の生き物を守るため、人間が手を加えない場所を作ろうというのが、海洋保護区の思想です。

しかし日本では、この思想はまだ多くの同意を得るにいたっていません。それは何故か、どうすれば保護区を作ることができるのか。
それらの問題点を紹介して、一緒に考えてみたいと思います。

向井 宏 (むかい ひろし) プロフィール
広島大学大学院博士課程修了。東京大学海洋研究所、北海道大学理学部および北方生物圏フィールド科学センター厚岸臨海実験所に勤務。底生生物の生態学、藻場の群集生態学、森と海の相互作用などについて研究。2007年退職後、「海の生き物を守る会」を立ち上げる。北海道大学名誉教授。2008年10月から現職。



開催日

2008年11月29日(土) 終了しました

開催時間 14:00〜17:40(13:30開場)
開催場所 国立科学博物館 新宿分館 研修研究館4階大会議室
〒169-0073 東京都新宿区百人町 3-23-1
会場TEL:03-3364-2311
JR山手線「新大久保」駅から徒歩8分/ JR中央線「大久保」駅から徒歩6分 >>地図



※空調は使用しておりません。ウォームビズでお出かけください。
定員 150名 (先着順・予約制)
参加費 OWSメンバー:1,000円
学生:1,000円
 一般:1,500円

※参加費は当日受付でお支払いください。
※近隣に自動販売機が少ないため、必要な方は飲み物をご持参ください。

主催 特定非営利活動法人OWS
協賛 オリンパス株式会社 オリンパス株式会社
協力

環境省・日本サンゴ礁学会・WWFジャパン
日本水中映像株式会社

スケジュール
14:00
開会の挨拶

14:10

「サンゴ礁の自然をみつめて」
講演:西平守孝
15:10
休憩
15:20
「山と海は恋人」
講演:キャサリン・ミュジック
16:20
休憩
16:30
「海洋保護区をつくろう 〜海の生物多様性保全に向けて〜」 講演:向井宏
17:30
閉会の挨拶
17:40
閉会




11月29日(土)、国立科学博物館新宿分館にて、第5回海のセミナー「サンゴ礁保全と海洋保護区〜 生物多様性保全を考える 〜」を開催しました。

DSC_2081.jpg今回の海のセミナーは、国際サンゴ礁年を締めくくり、生物多様性年につなげるにふさわしい、豪華講演者を迎えて開催され、参加者117名と多くの方にご来場いただきました。

セミナーでは、OWS北限の造礁サンゴ分布調査の中間報告もポスター掲示したほか、開催協力を得た環境省さんやWWFさんのポスター展示も行い、講演以外の部分でも鑑賞いただける情報が多く、充実した内容となりました。
講演者の皆様をはじめ、会場の国立科学博物館新宿分館の皆様、ボランティアとして運営に参加いただいた皆様、ご協力ありがとうございました。

参加したOWSイベント委員の籏野道子さんから感想を交えてご報告しまするんるん
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海のセミナーに参加して

DSC_2055.jpg今回の海のセミナーは素敵な3人の先生をお招きしました。

まずはじめに、「すみこみの連鎖」という多種共存のからくりを分かりやすくお話くださった西平先生。私は、先生のお話を、自分の目で見たイソギンチャクに住むエビ、ソフトコーラルに住むハゼのことを思い、誰かのあけた穴に住むギンポを想像しながら、お聞きしました。生物も他の生物をうまく利用し、生きている。そのことを自分の体験から、実感をもって感じられた時、少し嬉しくなりました。他を利用するのは人間だけじゃないのだと。他との共存があって、初めてなりたつ我々の生。これから、私達が考えなければいけないことのヒントになると感じました。

DSC_2082.jpgたくさんの素敵な写真を交えて、今の沖縄の現状をお話くださったのは、キャサリン先生です。先生は、「海と山は恋人だった」とおっしゃいました。昔は恋人だったけれど、今はちがう。今は、DVですと。キャサリン先生は、今の沖縄の現状を嘆いていらっしゃいました。昔見た沖縄の海と今の海は違うと。それでも、なんとかしよう。諦めてはいけないのだと努力されている先生の言葉。悲しい現実はあるけれど、何度何度も「最高です」というキャサリン先生。本当に胸が熱くなりました。「Everybody connect everybody.」「ゆっくり、ゆっくり。」そんな先生の言葉にたくさん勇気をもらいました。

DSC_2163.jpg最後は、海洋保護区についてお話くださった向井先生です。私達は、自然に手を加えすぎている。そのことを痛烈に感じるお話でした。人間の手が加わっていない自然。今、どれだけ残っているのだろう?先生のお話の中で、一番印象的だったのは、「里海」のお話です。人間が手を加えて作った生産性の高い多様性のある海。そんなものは何処にもない。海の生き物を守るためには、自然の海岸を守ることが重要なのであって、人手を加えて作った場所で、生物多様性がよくなった例はないとのこと。とても重い言葉でした。

それぞれの講演は、全く違う角度でのお話でしたが、目指している場所は同じだと思います。私は、普段お会いする機会のない、このような素晴らしい先生方の言葉を聞くことができたことが本当に嬉しかったです。今回のお話をしっかりと受け止め、できるだけ多くの人に話し、一緒に考えていきたいと思います。皆様、ありがとうございました。

第5回の海のセミナーの講演要旨、開催報告はこちらをご覧ください。
http://www.ows-npo.org/activity/seminor/index.html

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posted by OWS at 18:35 | 海のセミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする